神戸家庭裁判所 昭和38年(少)2913号
主文
少年を神戸保護観察所の保護観察に付する。
理由
(非行事実)
少年は
第一、法令に定められた運転の資格を持たないで昭和三七年○月○日午後五時三〇分頃、宝塚市○○字○○七番地先市道附近において軽二輪自動車(兵な-八二二九号)を運転し、
第二、前記日時頃、前記自動車を運転して、前同所を西より東に進行していたところ前方約三〇メートルのところを西進する対向車のライトによつて眩惑され前方注視が困難になつたのでこのような場合自動車運転者としては直ちに運転を中止するか若しくは安全運転ができる程度に減速したうえ前方を十分注視するなどの措置をとり事故の発生を未然に防止すべき注意義務があるに拘らず依然時速約二〇粁で運転を続け且つ前方を十分注視しなかつた重大な過失により同所岡○徳○方前にさしかかつた際目前に道路南側に自転車より降りて少年の自動車を避譲中の森○才○当時(六四年)を発見したが間にあはずハンドルの右端を前記自転車のハンドル右端に接触せしめ、同人を同所に転倒させよつて同人に右環指複雑骨折、右中指挫創、右示指皮膚剥離創により治療約五〇日を要する傷害を与え、
たものである。
(適条)
道路交通法第六四条、 第一一八条第一項第一号、刑法第二一一条後段、少年法第二四条第一項第一号
(処遇意見)
本件非行を検討すると少年は本件事故の際、夕方であり道路も狭いため軽二輪車を運転するについても一層の注意が要請される場合であるにも拘らず少年は前方注視を全く怠ると共に前方よりの対向車のライトに眩惑されたために進行が殆んど不可能な状態に陥つたのであるからかかる場合少年は当然除行又は停止などの事故防止の措置を講ずべきであつたがかかる措置を施さず漫然と進行した少年の重大な過失が本件事故の原因となり、更に少年は運転免許を有しないので運転経験の不足のための技術の未熟さも手伝つて本件事故を発生せしめている。
少年は本件事故の際は単に菓子を買い求めに行くために友人の軽二輪車を使用したのであつて、少年は前記車の運転が可能であるといつてもそれは正規に習得されたものではなく見よう見まねに覚えたものにすぎず車を運転するために必要な知識や技術の不足は言うまでもないことで少年の前記運転できるといつた自己流の自信から本件の場合も安易に、無免許運転を行つたことが窺はれ過去に於ても同様無免許運転をなし、真に車を運転する者としての社会に対する責任感が著しく欠けているので前記の諸点を考えると少年の遵法意識及び安全運転の必要性についての認識は極めて乏しいといわねばならない。
そこで保護者に一応の保護能力が認められ、本件について少年は衷心より反省し被害者に対しても弁償をつくし、少年も前途のある学生であつて情状として斟酌すべき点もあるけれども以上の点を綜合して判断すると今回は少年を保護観察に付したうえ適切な指導のもとに遵法精神を培はしめることが相当と思料するので主文のとおり決定する。